不意の雪で午前中の授業が休みとなり、久々に日中にゆっくりとした時間が過ごせている。


時間があると少しは大層なことを考えるもので今後の世の中がどうなるのか?ということに思いを馳せる。

自分が得ている情報から考えると先行きは決して良くなるとはとても思えない。特にこの国はかなり瀬戸際まで追い込まれている。

それなのに、僕らができることといったら、風雲急を告げる笛が吹かれるのを待つがごとく、あたかも事があかるみに出るのを待ち構えているだけだ。 


今まで自分はこの地球のためにいったい何ができたのか。何もなし得ていないのではないか。

いや、よりよい人間の生活が実現するために行動することを決してあきらめてはならない。

そんな思いに駆られたとき、僕はチェーホフの「ワーニャおじさん」のアーストロフの情熱あふれる言葉を思い出した。


「白樺の若木を自分で植え付けて、それがやがて青々と繁って、風に揺られているのを見ると、僕の胸は思わずふくらむのだ。そして僕は・・・」

(第一幕より)

アーストロフはこの後何を言おうとしたのだろうか。


「ワーニャおじさん」は悩みに悩んだ20代後半に「かもめ」とともに何度となく見た。ワーニャに自分の苦悩を見るのと同時に、アーストロフの姿から勇気と希望、情熱を持って生きることの素晴らしさを教えてもらった。


あれからもう20年近くが経ち、今年でワーニャと同じ47歳になる。仕事はなかなか忙しいが、人生を賭けるにふさわしい道は僕の前に常に用意されている。それはワーニャとは違う恵まれた点である。


僕の進む道が世の中を救う事につながるかどうかはわからない。しかし、アーストロフのように世の中に少しでも役にたとう、救おうという情熱を持つことはできるはずだ。


とめどもない熱い情熱。あきらめない気持ち。

ほんとうに大切にしたい。